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作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

作曲・音楽制作における心身相関について 

Posted on 15:56:24

 
 以前、「逆境を楽しむ」というテーマで、ブログ記事を書きました。
 その頃以前から、ふた月以上、体調があまりよくない状態が続いています。
 それには複合的要因がありそうなのですが、そのうちの無視できない要因のひとつとして、断続的に行ってきた、<地下の迷宮>の音楽制作がありそうだと見当をつけています。
 音楽活動は、心身に確実に影響を及ぼす、と感じています。
 このことについて、私見を述べておきます。

 
 
 作曲・音楽制作と心身の状態との関連
 
 ピアノ協奏曲の第1楽章<地下の迷宮>を、今年(2013年)の3月から4月にかけて、作曲しました。しばらく寝かせた後、若干の修正を施し、8月の下旬から、音楽制作に入りました(スコアを音楽にする作業)
 この曲は、短調で急テンポの激しい曲調を有しています。
 作曲中もそうでしたが、この曲の制作中は、この短調の曲調に精神が共鳴していくので、どうしても闇の世界に引きずりこまれてしまいます。心の深淵を覗き込むような、異世界との境界上に立っているような、危うい精神状態で、曲を仕上げる作業をしていきます。
 これは、心身に何らかの悪影響を及ぼしているに違いないと感じています。
 長時間継続すると危険と判断し、作業時間を1日3時間程度、週1日に限定しました。そして、断続的に制作を続けてきたのでした。
 自分で創作した曲ではあるのですが、曲が作曲過程のある段階から生命を持って、自律的に成長を遂げていきました。私は、その成長の過程を見守り、ソナタ形式の枠から外れないように世話をした、といったところです(このことについては、ブログ記事<C.G.ユングの芸術論(その1)―作品と作者との関係―>の後半にやや詳しく記しておきました)
 そのため、スコアが完成しているこの曲には、独自の生命力が備わっている、と感じます。
 その自律的存在と、私とが、ひとつの音楽作品を仕上げようと格闘するのです。
 その過程で、心身は何らかの変容を被ります。それは陶酔を伴う過程でもあるのですが、場合によっては身体を損傷する可能性も秘めていそうなのです(現実に、私の不眠や湿疹の悪化が制作作業の深化と相関していたようです)
 
 以前も、短調の曲の作曲や音楽制作において、同様の経験をしました。
 短調の曲には思い入れの深い曲が多いのですが、その自分の情念によって、心身を自損してしまかねないのです。
 底なしの闇を秘めた曲が、場合によっては、作曲者を呑み込んでしまう――
 そんな恐ろしさも、音楽には付随します。
 
 モーツァルトは、死の直前まで、≪レクイエム≫の作曲に取り組んでいたようです。
 直接の死因は「急性リュウマチ熱」らしいですが、この≪レクイエム≫への没頭が、さらに心身を蝕み、死期を早めた可能性も十分考えられそうです。
(死因については、M.ソロモン、石井宏訳『モーツァルト』新書館、p.743に依る)
 あるいは、モーツァルトの死の最大の要因は過労である、との見方もあります。
 その場合でも、病身にもかかわらず、≪レクイエム≫の作曲に取り憑かれてしまい、過労死に至った、ということでしょう。
 
 また、逆方向の関連ですが、日常的な心身の状態から離れ、精神が浮遊しているようなときに、曲想が生まれることがあります。
 心の翼が活性化し、内なる自然な生命力が発露しているような状態のとき、スラスラとスコアが出来上がっていきます。
 そうした状態は、“やってくる”ものなので、コントロールするのは難しいのですが、そうなりやすい心身を維持したり、その可能性を高めたりすることはできそうな気がしています。
 
 <地下の迷宮>の場合、私の内部に潜んでいる魔的存在、魑魅魍魎の蠢く領域―異世界・冥界・夢の世界ともどこかで繋がっているかもしれない領域―から湧き上がってきたものを、音楽に掬い取った感触があります。
 この曲は、私にとっての“ハイド氏”のような自律的な分身のようにも感じます。
 この分身と折り合いをつけようとした軌跡が、この曲の全体の構図にも細部にも反映しているのではないか――
 そのようにしてできた曲だから、音楽に仕上げる際に体調に何らかの影響があるのは仕方のないことなのではないか――
 そのように自己分析しています。
 
 このように、作曲や音楽制作と心身の状態とは双方向の関連があると諒解しています。
 心身の状態が曲の生成を導き、その曲が心身を変容させていく、ということです。
 
ピアノ協奏曲<地下の迷宮>は、11/3に公開しました。
 こちらで試聴できます。 

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ジャンル - 学問・文化・芸術

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