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作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

録音・機材操作の工夫―森の音楽工房のオーケストラサウンド― 

Posted on 15:44:14

 
 以前のブログ記事、<細部に至る演奏表現の工夫―森の音楽工房のオーケストラサウンド―>の続きです。
 
 今回は、よりリアルなオーケストラサウンドを表現するために、録音・機材操作に関して、私がどのような工夫を行っているかについて、その主要部分を紹介することにします。
 
 奥行き感と定位について
 
 実際のホールでのオーケストラの編成では、弦楽器群が一番手前に位置し、その後ろに管楽器群、最後部に打楽器群が位置します。客席にいる人々に対し、それぞれの楽器群の響き方は異なって届きます。
 このことを考慮して、これらの3種の楽器群に対して、それぞれ異なる音源モジュールを配しました。
 1台のモジュールでもオーケストラ演奏は何とか可能なのですが、各楽器群のまとまりを持たせ、異なるリバーブ設定を行いたい意図から、プロテウス・オーケストラを増設し、各1台ごとに、楽器群に対応させることにしたのです。さらに、楽器1台ごとに、リバーブのかかり方を少しずつ変えています。
 このことにより、奥行き感については、かなり納得のいく成果が得られました。
 
 定位については、「パンポット」というパラメーターで、ステレオの左から右のどの位置で音を出すかを指定できます。中心が64で、一番左が1、一番右が127です。
 このような、異なるリバーブの設定と、パンポットの指定により、オーケストラの立体感を出そうと試みています。
 
 ソロ楽器の音量・目立たせ方
 
 実際のホールでの演奏の場合には、はっきりと聴き取れる、フルートなどの木管楽器のソロも、CD録音では、相当小さな音量になってしまって聴きづらい場合があります。
 CDを、オーディオ再生装置を用いて聴く場合、ホールで聴くよりも相当小さい音量で聴くことになるので、加工しないで録音した場合、どうしてもそうなります。だから、フルートソロなどがとても小さく聴こえてしまうのは間違っていないのですが、でもそれでは作曲者や演奏者の意図が十分には伝わらない可能性があります。
 
 そこで、森の音楽工房のオーケストラサウンドでは、ソロ楽器の音量が小さいままでも、目立つような工夫を施しています。
 具体的には、イコライザーという手段を用いて、その楽器のポイントとなる波長成分を強調します。さらに、他の楽器とは異なるリバーブ設定を行い、ソロ楽器の部分だけ空間が浮かび上がるようにするのです。
 
 ティンパニーとシンバルの問題
 
 実際のホールでの演奏では、ティンパニーやシンバルをうるさく感じることは少ないのですが、CD録音では、これらの楽器が騒がしく、耳障りに感じられる場合がしばしばあります。クライマックスシーンでの打楽器群の活躍は、曲の構成上不可欠なのですが、うるさすぎては困ります。
 このふたつの楽器は、クラシック音楽のCD録音における鬼門であり、扱いが厄介な代物です。
 
 森の音楽工房のオーケストラサウンドでは、この2種の楽器については、実際の音量バランスよりも控えめにして、うるさくならないようにしています。なおかつ、聞き耳を立てれば、はっきりと他の楽器と分離して聞こえ、これらの楽器の演奏効果が失われないようにもしています。
 ただ、現在行っている方策で納得しているわけではなく、もっとうまい方法がないか検討しています。
 
 ダイナミックレンジについて―コンプレッサーの問題―
 
 実際のホールでの演奏では、最大音量と最小音量の差が非常に大きいのですが、そのまま録音したものをCDで再生したとすると、音量差が大きすぎて、ピアニシモの部分は聴き取りづらくなります。
 そのため、通常は(おそらく市販のCDの多くは)、コンプレッサーを用いて、音量差を小さくして、ヴォリュームを上げなくても聴けるようにしているはずです。
 
 CDを差し上げた方々からの話を聞いて驚いたことなのですが、CDを、カーステレオや、PCや、イヤフォンで聴く、というのがごく当たり前のようなのです。
 そうした環境では、確かに音量差(ダイナミックレンジ)が大きいと、小音量部分では聴き取れなくなってしまうでしょう。ポピュラー音楽では非常に強烈に使用されいるコンプレッサーですが、クラシック系統の音楽でも、必要悪として使わざるを得ないのが実情でしょう。
 
 こうしたことを念頭において、森の音楽工房のオーケストラサウンドでも、軽めにコンプレッサーを使用しています。ダイナミックレンジは狭くなりますが、たいていの人は、音楽専用の装置でCDを聴く、ということをあまりしないようなので、やむをえません。
 
TVのCMの音量が大きすぎるように感じる物理的理由
 短時間のCMにおいては、最大限にコンプレッサーがかけられ、音量差が最小になるようにしているようです。一方、本来の番組では、もう少し音量差があるように設定していることでしょう。そして、放送の都合で、CMの最大音量と、番組の最大音量とが等しくなるようにしているはずです。そのため、CMがうるさく感じられるのです(NHKの番組紹介も同様)。邪魔と感じる精神的要因だけでなく、物理的にも、平均音量はCMのほうが大きいからなのです。

 
 “オーディオの作法”の応用
 
 オーディオ装置を通して、よりよい音質で音楽を聴くために、マニアの間では、さまざまな工夫がなされています。不要な電源を入れない、回路をシンプルにする、電源を入れて時間をおいてから機材を活用する、機器の下部にインシュレーターやスペーサーを挿入する、などなど。
 森の音楽工房でも、よりよい音質に向けて、効果があるものについては、試行錯誤の末に取り入れています。たとえば、音源モジュールは、木質の台の上に設置したほうが自然な音色になる、ミキシングの前に、すべてのオーデイをラインを、ディジタルではなく、一旦アナログで出力する、などです。
 機械が出す音を、不自然でないナチュラルサウンドにするために、それなりの工夫を行っているのです。
 
 オーケストラ愛好家の夢想、「自宅の音楽制作システムで、できる限りリアルで自然なオーケストラサウンドを実現すること」、この課題は、困難ではありますが実にやりがいのある探究であります。
 
音楽制作の全体の流れについては、<私の手順―作曲・音楽制作の概略―>を参照してください。
 
予定していた、管弦楽曲<アシカのメヌエット>の公開は、4月14日頃に延期します。
 すみません。

 
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