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作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

いのちの流れと雲の流れ―ラマルクとメンデルの共通点― 

Posted on 09:04:28

 
 進化論を初めて体系的に論じたラマルクと、遺伝学の基本コンセプトを提案したメンデル、この二人の間には、意外な共通点があります。
 そのひとつは、二人とも、気象に深い関心をもち、自らの生物学的探究と同様な手法を、気象学的研究にも適用しようとしていたことです。

 
 気象学の分野では、ラマルクは、フランスにおける気象観測網を構築する必要性に気づき、自費で、最初の情報網を立ち上げた人物とみなされているようです。その情報網が、フランスの国立中央気象事務局や、世界気象機関の出発点となったそうです(イヴ・ドゥランジュ、ベカエール直美訳『ラマルク伝―忘れられた先駆者―』平凡社、1989年、p.218)
 ラマルクは、気象の変化において、なんらかの周期性が存在していることを感じ取っていたようです。若いころから、流れる雲の動きを長年にわたり観察し続け、その変化の中に、変化を規定している法則性がある、と確信を持ったのです(同書、pp.159-162)
 そのような自然把握の仕方は、彼が生物の歴史的変化の中に、なんらかの法則性を読み取っていった研究姿勢と、実によく似ています。生物進化と気象の変化の双方に、ラマルクは同様の視座構造をもって臨んでいた、といえます。
 
 もうひとりのメンデルも、修道院でのエンドウマメの遺伝的研究と並行して、気象観測とそのデータ分析を行っていました。とりわけ、風や雲に関心を持っていたようです。
 風向や風速の朝昼晩における測定値や平均値、雲量の5日間平均などを、統計的手法を駆使して、データ解析していました(E.イーデルソン、西田美緒子訳『メンデル―遺伝の秘密を探して―』大月書店、2008年、pp.84-85)
 多量のデータに対して統計的処理を施すことにより、なんらかの法則性が見えてくるだろう、とメンデルは考えていたのでしょう。
 そのような研究姿勢は、彼が多様な遺伝現象の中から、識別しやすい対立形質を選び出し、それらの出現頻度に対して統計的分析を施した手法と、実に類似しています。メンデルもまた、生物の遺伝的変化と気象の変化を探究するにあたって、同様の方法論を適用していたのでした。
 
 結局、二人とも、いのちの流れと雲の流れを、類比的にとらえていたのだろう、と私には了解されてきました。
 歴史的時間の中で変容を遂げていく生命現象と、日々刻々と変動を続ける気象現象とのあいだに、共通する自然界の刻印を見て取っていたのでしょう。
 生物学の理論家として、二人とも、在命中は評価されずじまいでしたが、非常に先見の明のあった人物でした。その彼らが共に、生命と気象を重ね合わせて感じ取っていたらしい、ということは、科学哲学の観点から実に興味深い事柄である、と私は思います。


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