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作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

定説不在の「気候感度」―CO2温暖化説の根拠の脆弱性― 

Posted on 09:30:30

 
 20世紀に地球の気候が温暖化した、という事実は、妥当と見てよいでしょう。しかし、その主要因については、科学者の間で見解は一致していません。
 通説の「CO2主原因説」に対する理論的批判があり、また、対抗学説として「太陽活動主原因説」が存在しています。それらは科学的な考慮に十分に値するものと思われます。
 それゆえ、自然科学の理論としては、地球温暖化の要因論をめぐる論争が継続している、と判断されます。
 
問題の背景
 
 現状の論争を図式化してみると、その主要因をめぐって、ふたつ、ないし3つのグループに分けられます。
 
・A型:CO2主原因説。人為的に排出されたCO2が大気中のCO2濃度を上昇させ、その温室効果が主原因で、地球の平均気温が上昇してきた、とする立場。
 
・B型:太陽活動主原因説。太陽活動の数十年・数百年単位の周期的変動が主原因で、20世紀の気候変動を大まかには説明できる、とする立場。20世紀の温暖化を、自然変動の範囲内、と見る立場も、このグループに括っておくことにします。
 
・AB型:上記2タイプの折衷説。20世紀の温暖化には、CO2も太陽もどちらも効いているが、その貢献度がどの程度の割合か(例えば、9:1か、3:7か、など)を、見極めていこう、とする立場。
 
 かつてA型であった研究者も、近年の太陽活動の研究の進展に伴い、太陽活動の変動の影響を無視できないことを了解し、研究の実情としてはAB型へと転じている場合もあるようです。
 
 ところで、CO2主原因説には主要な根拠が3点ありました。
 
①20世紀における、CO2濃度の上昇と平均気温の上昇との相関。
②温室効果理論。
③コンピューター・シミュレーション。
 
 これらのうち、①の根拠は、氷期と間氷期においてもその相関が確認できることと、因果関係が逆の可能性も考えられること、から、十分説得力のある根拠とは言えません(ブログ記事「氷期と間氷期の気候変動と、離心率変化、CO2濃度変化」をご参照ください)
 また、③の根拠も、パラメーターを適当に操作することにより、CO2主原因説に基づいた20世紀の気候変動を再現することは可能でしょうから、懐疑的な研究者を説得するのは無理でしょう。
 よって、CO2主原因説の最後の砦が、②の温室効果理論となっている、と現状では判断されます。
 二酸化炭素は温室効果気体であり、理論的には、濃度が上昇すると、地球から宇宙空間への赤外放射量が減少するため、地球の気温を上昇させます。ところが、定量的に、どの程度上昇するのか、という数値については、研究者の間で推測値に相当な乖離がみられるのです。
 その問題が、このブログ記事のタイトルに掲げた、「気候感度」の問題なのです。
 
定説不在の「気候感度」
 
 「気候感度」とは、CO2濃度が倍増した場合、地球の平均気温が何度上昇するだろうか、という推測値のことです。
 IPCC(気候変動に関する政府間パネル。国連の付属機関。実情は、CO2主原因説を一方的に流布している組織)では、気候感度を、+1.5℃~4.5℃と推測しています。そして、その値に基づいて、21世紀の温暖化の程度を予測しています。
 ところが、次の表を見れば明らかなように、研究者の間で、気候感度に関して異なる推測をしています。それも、IPCCの推測値よりもかなり小さい値での散らばりとなっています。
 
気候感度 
(深井有『地球はもう温暖化していない―科学と政治の大転換へ―』平凡社、2015年、p.137より)
 
 もしも、実際の気候感度が、IPCCの推測値の3分の1、ないし4分の1程度であるならば、21世紀の100年間におけるCO2による地球の気候変動への寄与は、+1℃に満たないでしょうから、それほど憂慮する事態ではなくなります(都市化に伴う影響の方が大きくなりそうです)。太陽活動の変動次第では、寒冷化の可能性も出てきます。CO2への対策はおそらく不要でしょう。
 
 では、なぜ気候感度の推測値にこれほどまでのばらつきが生じるのでしょうか。
 それには二つの原因が考えられます。
 20世紀の温暖化の主要因を、A型とするか、AB型とみなすかによって、その値は大きく変わってくるはずです。IPCCは、A型、ないしA型に近いAB型なので、太陽活動の変動による寄与は小さいとみなし、CO2による温度上昇を多めに見積もっています(その前提に基づいて得られた気候感度の値をCO2主原因説の根拠とするならば、論点先取のように映ります)。それに対し、深井氏のようなB型に近いAB型の研究者によると、20世紀の温暖化の大部分は太陽活動の貢献によると判断されるため、その推測値は小さめに出てくることになります。
 もう一つのポイントは、水蒸気や雲によるフィードバックの問題です。
 気温が上昇すると、海からの水蒸気量が増え、雲ができやすくなります。その水蒸気や雲がさらに温度を上げる方向に作用するのか(正のフィードバック)、それとも、下げる方向に作用するのか(負のフィードバック)、という論点があるのです。
 水蒸気は温室効果気体ですから、正のフィードバックをもたらす可能性があります。その一方で、雲は雨や雪を降らせたり、太陽光を遮蔽したりしますから、負のフィードバックをもたらす可能性も否定できません。
 IPCCでは、正のフィードバックがかかるとみなして、気候感度を算出しています。それに対して、近年の小さい値の気候感度は、負のフィードバックの方が優勢、と捉えて、推測値を出しているようです。
 こうした事情から、気候感度の値に、現在では定説がない状況となっているのです。したがって、CO2主原因説の説得力も、研究者の間では宙吊りのまま、というわけです。
 
 このように、「気候感度」をめぐる研究は、CO2主原因説の説得力を大きく左右するテーマとなっているのです。その値について、定説不在である、ということを、ここで確認したのでした。
 
水蒸気や雲によるフィードバックに関する重要な論点として、近年では、「アイリス・エフェクト」(虹彩効果)が登場してきました。その学説については、ブログ記事<地球温暖化要因論争の主要論点と絡む「アイリス仮説」>をご覧ください。

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