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作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

健康診断に感じる「浅ましさ」 

Posted on 09:12:17

 
 健康診断を、私はできれば受けたくないと思っています。その大きな理由のひとつが、タイトルに書いた、健診に「浅ましさ」を感じる、ということです。

 
 慶應大学医学部放射線科の医師であった近藤誠さんは、著作でしばしば、定期健診に対する批判的見解を述べています。
 近藤先生は、健診によって寿命が延びるといった統計的データがないこと、健診には投薬量が増えたりストレスが増したりするデメリットがあること、を指摘し、健診には実利的に益がないことを主張しています。
(例えば、近藤誠『医者に殺されない47の心得』アスコム、2012年、pp.62-65。「『きちんと定期健診を受け、病気や異常が見つかったらライフスタイルを改善し、それでも検査値に問題があったら医者から薬をもらう』という非の打ちどころのない努力は、無意味もしくは危険」p.63より)
 私も、近藤先生のその見解に同意します。ただし、私には健診を好まない異なる理由があります。それは、人間の生き方にかかわる事柄です。
 
 3年前に、私は職場の定期健診を受けました。その際、私の中で、「長寿」や「健康」への誘惑が芽吹いたのを感じ、自分の精神の「浅ましさ」を感じたのでした。
 特に身体に自覚症状がなくとも、健診によって数値的異常を見出し、病気の早期発見に努め、長寿や健康を望む、ということは、社会的には広く受け入れられている価値観かもしれませんが、私には不自然さ、人為が感じられます。自覚症状のない数値的異常を病気の初期過程とみなし、それに修正を加えようとしているからです。
 人間のからだは、不具合に対して適切なシグナルを出すものでしょう。それに対する感受性が鈍化していなければ、感じ取るべき病気の徴候は自ずと感受できるのでないでしょうか。
 健診にまつわる価値観を肯定する、ということは、「不自然な」長寿、「人為的な」健康を望むことにつながるように、私には思われます。
 まずまず健康な時には、その状態を楽しめばよいし、病弱の時にも、その状況を受け入れて生きればいいと思います。
 人間は年齢を重ねるにつれて、いろいろなところに不具合が生じてきます。それが自然な老化の流れの中にあるならば、それらを受容して生きていきたいと思います。無理に若さを保とうとするのは、潔くないと感じます。
 病気になった場合でも、もし自力で自然治癒するタイプの病変であるならば、医者にかからず養生し、ゆっくり回復を待ちます。もしも、自力で回復不能の死に至る病を得たならば、それを運命と受容して、苦痛は避けますが治療は控え、逆らわずにお迎えが来るのを待ちたいと考えています。後者の場合も、医療にはあまりお世話にならずに済ませたいと思っています。
 「自然体」で生き、老い、病となり、死んでいきたいものです。
 つまり、私は、「長寿」や「若さ」や「健康」にしがみつきたくない、と考えているのです。
 それらを否定しているのではありません。短命や不健康を望んでいるわけではありません。人為的で不自然な長寿や若さを望む在り方に嫌悪感を覚える、ということなのです。
 病になること・老いること・死ぬこと、これらに関しては、「無為自然」で臨みたい、というのが私の生きる姿勢です。無理せずその状況を受け入れ、できれば味わって生きていく。
 健康診断の強制は、そのような生き方を志向する人々の価値観を逆なでするような不作法であると感じます(人々の多様な価値観に対して鈍感なため)。
 
誤解はないと思いますが、健診を受ける人たちに対して批判をするつもりは全くありません。受ける・受けないは個人の自由でしょう。

 
 仏教でいう四苦、「生・老・病・死」とは、それらに対して受け入れる覚悟を持つ精神を涵養するために掲げられた標語であろう、と私は受け止めています。仏教では、人間の貪欲な精神を見つめ、それからの解放の道筋を探ります。
 そのような、仏教的な精神の成長の視点からみると、健康診断には、人間のもつ根深い“業”が潜んでいるように、私には感じられたのです。
 
 以上、定期健診を受けたくない人間の言い訳でした。


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