作曲と思索の愉しみ
オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。
2017/09/30 Sat.
管弦楽曲<時の波>を公開
Posted on 06:53:45
この管弦楽曲<時の波>は、人生をテーマとした作品です。
遠浅の海岸べりに佇み、寄せては引く波の音を聴きながら、自分の人生を振り返り、来し方行く末に想いを廻らせます。
(YouTube へのリンクです)
遠浅の海岸べりに佇み、寄せては引く波の音を聴きながら、自分の人生を振り返り、来し方行く末に想いを廻らせます。
(YouTube へのリンクです)
波打ち際では、生命の海から、いのちの飛沫が打ち寄せてきている気がします。そこでは人は、心が洗われ、甦っていきます。ゆったりとした時の波に乗せられて、生かされている人生の、多面的・複層的イメージを表現してみました。
「波のモチーフ」と「心のざわめきのモチーフ」が、曲の素材の骨格をなしています。
「波のモチーフ」は、イントロのイングリッシュ・ホルンのソロの直後に、最初に提示されます。変形されて、何度も再来します。
「心のざわめきのモチーフ」は、クラリネット・ソロによって最初に演奏されます。調性が不安定となっていくところでもあります。「ときめき」や「胸騒ぎ」を暗示しています。
中間部のオーボエソロ(2:50頃~)は、実音が「波のモチーフ」とほぼ同じ並びで、調性が全く異なる(ニ短調)メロディーで始まり、変容を遂げていきます。
人生への「追憶」から曲は始まります。そして、「葛藤」や「波瀾万丈」、「高揚感」、「黄昏」や「諦観」といった人生模様を意識して、作品を描きました。
オーケストラに潜んでいる、表現能力を再認識しました。
創作には、否応なく作者の人間性が刻印されてしまうものです。この<時の波>では、とりわけ色濃く、私の人生観が滲み出ているように感じます。
私の葬式の際には、この曲を流してもらえたら、と思っています。
2006年に作曲した初稿を、2017年3月と8月に全面的に書き直し、新たに音響制作しました。変ホ長調。
この曲でも、<丹頂の輪舞>や<イルカの旅立ち>や<楽園の夏>などと同様に、音源、Garritan Personal Orchestraと、Proteus Orchestraをブレンドして、オーケストラサウンドを制作しました。
楽器編成:フルート2、オーボエ1、イングリッシュ・ホルン1、クラリネット2、バス・クラリネット1、バスーン1、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ2、ティンパニー、シロフォン、チューブラ・ベル、シンバル、チェレスタ、弦楽器群(ヴァイオリンⅠ・Ⅱ、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)。
※静止画像は、1998年4月に南房総の館山にて(アナログカメラで)撮影した写真です。
- 関連記事
スポンサーサイト
テーマ - クラシック
ジャンル - 音楽
« リンネの鉱物分類と3の倍数
<八ヶ岳南麓の秋>―写真スライド・ショーと、オーボエ・ソナタ― »
コメント
コメントの投稿
トラックバック
| h o m e |