05 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30. » 07

作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

音楽は、意識されない身体活動と密接な関わりがある 

Posted on 09:48:33

 
 前回は、耳の構造や聴覚の系統発生の観点から、音楽の本質に迫る考察を行いました。
 今回も、人体の解剖学的知見から観取される音楽の特質について、語ることにします。

 
 今回注目したいのは、耳の内部構造の、うずまき管や前庭や半規管から脳に向かって伸びている、「聴神経(内耳神経)」です。
 聴覚の中枢は大脳にありますが、聴神経は、直接大脳には向かっていません。
 聴神経は、脳幹の最下部の「延髄」につながっています(視神経が間脳に、嗅神経が大脳に伸びているのとは対照的です)
 中枢神経系の一翼を担う「延髄」は、呼吸運動や心臓の拍動、消化管の運動、血管の収縮などの中枢として機能しています。言い換えれば、生命を維持するための、不随意な活動を統御している中枢です。
 例えば、心拍のリズムは、直接には右心房の上側にある「洞房結節(ペースメーカー)」により創り出されていますが、その洞房結節の活動を、自律神経を介して統御しているのが、延髄なのです。
 聴覚や平衡感覚を伝える聴神経が、まず延髄に入っていく、ということから、音楽と意識されない身体活動との間にはいろいろな関連がありそうだ、と見当がつきます。
 まず、身体的に心地よい音楽の場合、呼吸や心臓の拍動と、調和・共鳴していると考えてよさそうです。延髄は、呼吸や鼓動のリズムを紡ぐ“指揮者”とみなせます。その延髄を、聴神経が刺激するのですから。
 次に、音楽の重要な要素である「リズム」が、身体のリズム、とりわけ呼吸のリズムと心臓の拍動と深い関わりがありそうだと見えてきます。
 心臓の拍動は、動物の循環器系の進化の過程で獲得された現象です。また、肺呼吸は、脊椎動物が上陸し、それ以降に洗練されてきた呼吸様式です。
 ということは、音楽のリズムには、数億年に及ぶ、動物の進化の歴史が刻印されている、といえるのではないでしょうか。
 
 音楽の根源的な欲求の一つに、「生命世界の表現」という志向があるように私には思われます。それは、音楽自体が生命の歴史を内に宿しているから、と理解できます。


関連記事
スポンサーサイト

テーマ - 博物学・自然・生き物

ジャンル - 学問・文化・芸術

△page top

△page top

Secret

△page top

トラックバックURL
→http://wood248.blog.fc2.com/tb.php/213-4ae4722f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

△page top

カテゴリ

全記事一覧リスト

最新記事

月別アーカイブ

コメントをどうぞ

最新コメント

最新トラックバック