06 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. » 08

作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

サッカーと、オーケストラとの類似性 

Posted on 06:39:08

 
 オリンピックのサッカー中継を見て、オーケストラのスコア書きに戻ると、サッカーという競技はオーケストラの演奏と似ているところがある、と感じました。もちろん、限定的にですが。
 その両者の構造的類似性の話をしてみます。

 
 サッカーに出場している11人にはポジションがあり、フォワード・ミッドフィールダー・ディフェンダー・キーパーに分かれます。オーケストラでは同様に、高音域・中音域・低音域の楽器群があります。そしてどちらも、各グループ間のバランスとコンビネーションが大切です。
 フォワードを中心とした攻撃的な選手がいるのと類比的に、オーケストラではヴァイオリンやトランペットなどの高音域の楽器が、大部分の旋律を担います。そしてフォワードも高音域楽器もともに、俊敏性が要求されます。
 守備的な選手が試合の破綻を防いでいるのと同様に、低音域のバスラインとリズムが、曲の輪郭を象ります。両者ともに、基礎を築いている、といえるでしょう(縁の下の力持ちであるセンターバック、チューバ奏者やコントラバス奏者はみな、体格ががっしりとしたプレイヤーであることが多いようです)
 また、ボールを保持して前がかりでの攻撃中にも、中盤の底でボランチが、ボールを奪われた際のカウンターに備えているように、16分音符で煌めく旋律が流れている際にも、中盤の底のホルンやトロンボーンが、ロングトーンで曲を落ち着かせています。
 ところが、場合によっては、守備的な選手が攻撃参加したりすることがあるように、チェロやファゴットのような低音楽器が旋律を担うこともあります。
 さらに、フィールド内に司令塔と呼ばれる中心的選手が存在するように、演奏者の内部に、指揮者とは別に、コンサートマスターという司令塔が存在します。
 つまり、[前・中・後]または[高・中・低]の構造的階層性を両者は有していて、その役割分担にもある程度の対応がみられる、というわけです。そして、その役割も両者ともに、流動化することがあるのです。
 相似的な構造的秩序を持ちつつ、試合や楽曲の進行とともに、それが自在に変容を遂げる。
私が「似ている」と感じたのは、そういうことです。
 
 ここまで書いてきて、上記の議論に、次のような二つの反論がありうることに気づきました。
 一つは、サッカーのゲームは、試合の進行を予測できないが、オーケストラ演奏は、スコアに書かれているためほぼ予測がつくではないか、という反論です。
 もう一つは、サッカーには敵がいるが、オーケストラには敵がいない、という違いです。
 一つ目の、即興性の問題は、確かに大きな違いではありますが、見方によってはこの点でも、類似性を見出せます。
 作曲家の視点からは、創作過程では曲の進行がどうなるのかは、細部にわたってまではわかりません。スコアに書きながら、作品が生成してくるのです。一方、サッカーでもゲームプランという構想があるようなので、細部はともかく、全体の流れに関しては、全く予測不可能、というわけではないでしょう。
 また、聴き手が初めての曲を経験する際には、細部の予想に関してはあまり的中しないでしょう。
 したがってこの違いは、絶対的なものではなく、相対的な程度の違いといえます。
 二つ目の「敵」に関しては、確かにオーケストラには敵はいませんが、「相手」は存在します。聴衆です。サッカーでは、相手とともに、試合という作品を作っていきます。「相手をリスペクトする」などとよく言いますが、それはオーケストラでも当てはまります。聴衆とともに、音楽世界が成立します。相手との良好な関係が築かれたときに、素晴らしい芸術作品が提示されたと判断されるわけです。
 つまり、「相手との関係」が重要な鍵を握っている、という点では共通しているのです。
 
 このように、サッカーとオーケストラ演奏とは、結構似ています。
 では、なぜ似ているのでしょうか。
 それはおそらく、どちらも世界の構造や世の中の出来事の進行の暗喩になっているからではないか、と思います。つまり、神話として機能しているのです。
 サッカーもオーケストラも、世界の在り方のある種の側面を、それなりに反映しているため、結果として構造的類似性が出現したのではないでしょうか。


関連記事
スポンサーサイト

テーマ - クラシック

ジャンル - 音楽

△page top

△page top

Secret

△page top

トラックバックURL
→http://wood248.blog.fc2.com/tb.php/179-a68225bd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

△page top

カテゴリ

全記事一覧リスト

最新記事

月別アーカイブ

コメントをどうぞ

最新コメント

最新トラックバック