03 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30. » 05

作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

デカルトが描いた最初の直交座標をめぐって 

Posted on 09:04:30

 
 私たちが中学や高校の数学で学ぶ、2次関数などで用いるxy座標は、哲学者デカルトが考案したものとされています。そのアイディアは1637年の著作、『幾何学』に述べられています。
 今回は、その著書に記載されている直交座標の実例をめぐって、興味深い点をいくつか指摘しておきたいと思います。

 
1637年のデカルト座標
(ルネ・デカルト、原亨吉訳『幾何学』ちくま学芸文庫、2013年、p.33)
 
 まず、上の図を見てわかるように、ほぼひとつの象限内のみの図になっていることがわかります。「未定量」のxとyは、プラスの値の範囲内で、とりあえずは作図されています。
 また、条件を満たしつつ動く点Cの軌跡が、xとyの方程式で表されるのですが、
 
 x=AB、y=BC
 
とデカルトが定めているので、縦軸がx軸、横軸がy軸となっていることもわかります。
 つまり、元祖デカルトが描いた最初の直交座標は、今日の数学で使われている一般的なxy座標とは少々異なるものでありました。
 ただし、直交座標平面上に描かれる曲線が、ある一定の条件を満たしながら動く点の集合として、xとyの方程式で厳密に表記されうる、という発想は、この実例の時点で確立しているといえます。
 
 しかしながら、直交座標平面上に曲線を描いた実例は、デカルト以前に存在しています。ガリレオが放物線運動の研究実験の過程で描いた手稿です。おそらくは1609年のものです(これに関しては、ブログ記事<17世紀初頭に出現した、大譜表とデカルト座標>をご参照ください)
 ガリレオは、水平方向の等速運動と、垂直方向の等加速度運動との合成で、放物線運動を理解していました。二つの軸上の変数によって曲線が決定されるという発想法です。その意味で、デカルトの発想と共通の思考が見られるわけです。
 いずれにしても、17世紀前半には、直交座標的な思考様式が、数学や哲学の探究者たちの間で醸成されつつあったことは確かでしょう。
 
 ところで、この著作『幾何学』が、デカルトの哲学上の主著である『方法序説』の付録に相当する「試論」であったことも、哲学と数学との関係を考察する上で、無視できないポイントとなると考えられます。
 このことは、哲学上の原理的思索と、数学的世界観とが、デカルトの中では密接不可分な関係にあったことを推測させます。おそらくデカルトにとって、「世界を正しく理解する」とは、「世界を数学的に描写する」ことであったのでしょう。
 この思考枠組もまた、ガリレオがすでに開拓しつつあったものでした。近代科学と近代哲学の二人の先導者は、相似た世界観を共有していたのです。
 
補足説明
 
 上の図において、どのような条件で点Cが動くのかについて、日本語訳の上記の書物の説明は、極めてわかりづらいものでした。少なくとも私にはその部分の文章を解読できませんでした。デカルトの元の説明が難解なのか、翻訳が上手でないのか、どちらかでしょう(たぶん、両方だと思います)。
 説明文を無視して、図を眺めていたら、点Cの運動規則がわかりましたので、デカルトと翻訳者に替わって、私が(その日本語の訳本より)わかりやすい説明をしておきます。
 
 
動点Cは、定規GLと、直線KNの延長線との交点です。定規GLは、点Gが固定されていて、点Lが縦軸上を上下に動きます。そして直角三角形KNLは、形と大きさを変えずに、点Lにおいて定規と接しながら、縦軸上を上下に平行移動します。結局、定規と直角三角形とが、連動して上下動するのです。その結果、交点Cが運動し、曲線が描かれます。
 さて、デカルトは、GAをa、KLをb、NLをcとしています。すると、二組の相似な直角三角形から二組の比例式が作れ、xとyの方程式が得られます(BLを二通りの方法で表し、消去すればできます)。そのxとyの関係式は、双曲線の方程式となります。
 たとえば、a=7、b=1、c=1のとき、
 
 y(y+x-8)=-7
 
 となります。
 
 漸近線は、y=0、y+x-8=0です。

関連記事
スポンサーサイト

テーマ - 数学

ジャンル - 学問・文化・芸術

△page top

△page top

Secret

△page top

トラックバックURL
→http://wood248.blog.fc2.com/tb.php/158-50653457
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

△page top

カテゴリ

全記事一覧リスト

最新記事

月別アーカイブ

コメントをどうぞ

最新コメント

最新トラックバック