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作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

曲のタイトル「イルカの旅立ち」に込めた意味 

Posted on 09:01:28

 
 昨年末に公開した、管弦楽曲<イルカの旅立ち>は、自分の中にあった映像的イメージを描いた作品です。
 そのイメージに重ね合わせて、私なりの物語的展開を考えていました。その筋書きを、ここで語っておこうと思います。
 
 「旅立ち」には二つの意味合いがあります。
 ひとつは、水族館からの旅立ちです。
 人間の管理から脱け出し、野性に還る旅です。大海原の潮流のなかでの共鳴感や、解放感を全身で表現しているイルカ。また、自然界と一体化することに対する躊躇と、決意。
 この筋書きは、飼いならされた文明人の生き方から距離をおきたい、という私の願望でもあります。
 もうひとつは、系統発生的な旅立ちです。
 イルカと私たち人類の共通祖先の脊椎動物は、3億数千万年ほど前に、陸上に進出してきました。ところが、新生代のある時期に、その身体的指向性を転換して、海へと還ろうとする哺乳類が現れました。この曲には、その彼ら・彼女らへの哀惜を込めたのです。
 こちらの筋書きも、私の中では進歩の思想との距離感につながっています。
 近代文明の価値観や競争原理からある距離を置き、身にまとっているいくつもの殻を少しずつ脱ぎ捨て、「求めない生き方」へと重心をシフトしていく。
 そんな「覚悟」が私にとっての旅立ちです。
 
御礼
 
 このひと月間に、聴いてくださった10名ほどの方々から、感想やコメントをいただきました。
 ありがとうございます。
 今後の創作活動への意欲が再び湧いてきました。
 
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