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作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

日本の都市は、局地的温暖化 

Posted on 09:57:54

 
 今年の夏も、例年通り蒸し暑く、永井荷風の「溽暑」という表現がふさわしく感じられる気候でした。
 日本の都市は、昔に比べて暑くなった、という話をよく聞きます。この皮膚感覚と、「地球温暖化」とが、どの程度関係しているのかを、気象庁のデータを用いて検討してみようと思います。

 
 まず、私は過去30年ほどの間に5回引越しをしているため、私の実感はあてにならないことを申し上げておきます。現在は八王子に暮らしていますが、私が一番暑かったと記憶している夏は、1994年の猛暑でした。当時、川崎市中原区に住んでいました。2000年以降、甲府と八王子で暮らしてきましたが、どちらも、日中は暑くなりますが、熱帯夜は少なく、川崎市での猛暑よりはしのぎやすいように感じました。
 
100年単位での温暖化との比較
 
 さて、国土交通省・気象庁の「世界の年平均気温」のグラフを見ると、過去100年のトレンドとして、0.70℃上昇、という数値が挙げられています。
 それに対し、「日本の年平均気温」のグラフでは、過去100年で1.14℃の上昇、となっています。
 おそらく、これらの数値は、日本の都市部での生活者の実感とは大きくかけ離れているでしょう。なぜなら、東京は100年で約3℃上昇していますし、大都市では軒並み、2~3℃の上昇が記録されているからです。
 上記の「日本の年平均気温」の偏差の算出方法の解説には、次のような説明があります。
 
「1898年以降観測を継続している気象観測所の中から、都市化による影響が少なく、特定の地域に偏らないように選定された以下の15地点の月平均気温データ。
 網走,根室,寿都(すっつ),山形,石巻,伏木(高岡市),飯田,銚子,境,浜田,彦根,宮崎,多度津,名瀬,石垣島」
 
 これらの地点を見ると、確かに、大都市は含まれていないため、都市化の影響は「少ない」と見ていいでしょう。ただし、人口10万人以上の地方都市も含まれているため、影響をゼロと査定することはできないでしょう。
 100年で、世界の平均の0.70℃上昇と、日本の平均の1.14℃上昇との差(約1.6倍)は、若干の都市化の影響と見てよさそうです。
 それに対し、大都市部では、世界平均に対して、3~4倍もの上昇がみられます。
 ということは、都市部においては、「昔に比べて暑くなった」という実感の7割程度は、「都市化」によるものであり、「地球温暖化」に起因する割合は3割程度、と判断できます(「地球温暖化」とは、過去100年程度の間に地球の平均気温が上昇してきたこと、という意味に捉えておきます)
 したがって、都市部の住人が、暑くなったことを地球温暖化と直結して理解しようとするのは、見当違いであります。高層ビル群や、アスファルトに覆われた地面、大量に消費するエネルギーなどがもたらした、総合的な都市化の影響が、主要因といえます。
 100年で0.70℃程度の地球温暖化は、実感としては微々たるものでしょう。それに対して、100年で3℃上昇した東京や札幌の局地的温暖化は、長生きした人であれば十分に感じられることでしょう。
 その「局地的温暖化」の実感を、「地球温暖化」と結び付けようとする一部の報道には、意図的な誘導を感じます。
 
地球温暖化が環境問題か否か、という点は、議論の分かれるところですが(主要因が自然的か、人為的かに関して論争中であるため。今回は厄介なその論点には立ち入らないことにします)、都市化による局地的温暖化は、明らかに人為的要因が主であるため、これは環境問題であることが明白です。
 
最近17年の動向
 
 次に、最近17年の、世界と日本の年平均気温の動向を確認してみましょう。
 1998年に、世界平均気温のピークが訪れました。当時、「こんなに急激な上昇は自然現象ではありえない」といった議論に使われたデータです(2000年代初期の気象庁のデータでは、1998年の世界平均の値は、現在のデータの値よりも0.27℃高い数値となっていました。当時の平年値との比較で、+0.64℃。2008年頃、データが修正されたようです)
 その1998年以降、「世界の年平均気温」のグラフを見る限り、ほぼ横ばいに見えます。少なくとも、1980年代や1990年代の顕著な上昇傾向はなくなったといってよいでしょう。
 また、「日本の年平均気温」のグラフでも、1998年以降、上昇傾向はありません。むしろ、若干下降気味にも見えます。
 世界の平均のトレンドに関しては、1998年と2010年と2014年のピークが、エル・ニーニョ現象の時期ときれいに対応しているため、エル・ニーニョとラ・ニーニャとの周期的変動(ENSO)が、この期間における地球の短期的気候変動の主要因となっていたらしいと推測できます。
 ところが、日本の都市部に関しては、21世紀に入って以降も、猛暑日は増え、熱帯夜は長く続く(といった報道が頻発する)ようになりました。少なくとも都市部では、「局地的温暖化」が進行しているようです。
 1994年頃以降、日本では40℃台の気温を記録する機会が増えましたが、その観測地点のほとんどが、関東と中京圏と関西に集中しています(例:館林、熊谷、越谷、甲府、多治見、佐久間、天竜、枚方、かつらぎ、など)。都市化による影響は明白でしょう。
 したがって、最近の17年間で、「暑くなった」という実感がもしあるならば、それは都市化による「局地的温暖化」に起因するものであって、「地球温暖化」とは無関係です。なぜならば、過去17年間、地球温暖化は進行していないからです(したとしても、二つのピークを比較した場合、17年間で、+0.05℃です。誤差の範囲内でしょう)。また、都市化の影響の少ない地域を選んでいる日本の年平均気温も上昇していないため、「局地的温暖化」としか言いようがないでしょう。
 ヒートアイランド現象や、ゲリラ豪雨は、確かに、都市部における「局地的温暖化」とかかわりがあるでしょう。しかし、それらの現象を、地球温暖化と結びつける論調には、私は違和感を覚えます。データに基づいた科学的合理性から外れる議論のように思えます。
 進行がほぼ停止したか穏やかになった「地球温暖化」と、進行中と思われる都市部における「局地的温暖化」とは、おそらく要因も異なるので、区別して考察すべきではないでしょうか。


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