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作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

優れたMIDIシーケンサーとしてのYAMAHA XGworksST 

Posted on 15:47:12

 
 4月の下旬ころから、私の音楽制作システムの全面的な再構築に取り掛かりました。先月までのシステムは、いわば、古い温泉旅館が増改築を繰り返して、複雑な迷宮になってしまったような代物でした。その建物をいったん取り壊して、新たにこじんまりした機能的なビジネスホテルを建てよう、というプランです。
 その過程で、それまで使っていた上記のソフトが、換えの利かない優れものであったことが了解されてきたので、そのことを以下に記録に留めておきます。

 
前置き
―音楽制作システムの脱構築―
 
 管弦楽曲を作曲して録音された音楽作品に仕上げる過程は、おおよそ次の3つのステップからなります。
 
A. 作曲する(スコアに音符を書き込むまで)
B. 演奏表現を加える(主にMIDIデータを修正)
C. 録音する(音源の音をミックス)
 
 Aのステップは、五線紙とPCのみでできるので、今回のプランの対象外でした。
 最大の課題は、Cのステップです。10年ほど前から、この部分をPCを用いずに、マルチ・トラック・レコーダーというタイプの機材を使っていたのです(AW4416、4台の音源モジュールから16Chアナログ入力をミックスしていました。オーケストラ音源の多重録音用機材として最適でした)
 その部分を、[PC内のDAWソフト]+[オーディオインターフェース]に換える、というのが、今回のシステム変更の中核です(AW4416がそろそろ耐用年数に近づいていると感じるようになったことと、このままでは発展性が望めないと判断したことが、システム再構築の主な理由です)
 それとともに、ハード音源の4台をとりあえず2台に縮小し、その代わりにPC内にオーケストラのソフト音源を段階的に導入する計画です(ベースとなるPCとキーボードとアンプとスピーカー以外の機材の数を、7台から4台に減らせました)
 さて、DAW(Digital Audio Workstation)というソフトは、上記のABCの3ステップすべてに使えます。私は、自分の制作上の特性との相性を考慮して、SONAR X3LE というDAWを導入しました。当初は、BとCのステップにこのソフトを使う算段だったのですが、当てが外れました。
 Bに関しては、10年以上前のソフト、YAMAHA XGworksST の方が、機能的に優れていることがわかったのです。
 
優れたMIDIシーケンサーXGworksST
 
 ここでようやく、本題に入ります。
 管弦楽曲のスコアに書き込んだ、一つ一つの音符は、MIDIデータとして、さまざまな音楽ソフトに読み込まれます。音符の位置、音の高さ、音の長さ、音の強さの4種が、基本的な情報となります。
 たとえば、2小節目の第3拍目に、ソ(G)の高さの2分音符音符があり、mfの強さである、ということを、MIDIデータで伝えることができます。そして、まったくスコアどおりに正確に演奏を再現できます。
 ところが、実際の奏者による演奏は、微妙なズレを伴います。上記の4つの要素すべて、そうなのです。音の出だしを少し遅れ気味にしたり、わずかに高めの音を出したり、短く切って演奏したりします。
 それゆえ、スコアに書き込んだ音符をMIDIデータに翻訳しただけでは、味気ない機械的な演奏になってしまいます。そこで要請されるのが、MIDIデータの微修正です。これは、望みの演奏表現に近づけるための必須の作業となります。
 この作業は、どのDAWソフトでも基本操作はできるはずですが、XGworksST は、実に効率的に、ストレスなく作業ができるソフトでした。そのうえ、演奏表現の向上のための各種支援ツールがいくつもあり、どれも“使える”ものだったのです。
 二つほど例を挙げてみます。
 よく使う機能に、「tr.(トリル)」があります。譜面入力のウィンドウで、音符にtr.を貼り付けると、機械的でない人間の演奏らしいばらつきのあるトリルのMIDIデータができます。トリルの速さも調整でき、後は音の強さと長さの微修正のみで、トリルの演奏が完成します。
 また、「オートアーティキュレーション」という秀逸な機能があります。これは、ひとつのトラック全部または一部のMIDIデータに対して、その楽器に応じた演奏らしさを加味してくれるものです。とりわけ、ピアノや管楽器のソロには重宝しました。
 
オートアーティキュレーションの顕著な活用事例:ソロ楽器に2度、異なるプログラムでオートアーティキュレーションを施し、さらに微修正を加えて、人間の実際の演奏に近づけた曲を紹介しておきます。<森の木霊>のフルート・ソロ、<高原の風>のアルト・サックスのソロを聴いてみて下さい。
 
 こうしたMIDIデータ編集のための支援ツールは、現在のDAWソフトに当然含まれているだろうと思い込んでいました。ところが、違いました。
 SONAR はまだ使い始めて10日ほどなので、使いこなせてはいないのですが、何ができて何ができないのかについては、大まかには了解できました。前置きで述べたBのステップに関しては、2003年ころに販売開始した XGworksST のほうが、機能的には充実しているのが明らかでした。
 SONAR 以外の代表的なDAWソフト、Cubase などの機能をウェブ上で調べてみましたが、MIDIデータの修正・編集機能に関しては大同小異で、少なくともオートアーティキュレーション機能に相当するツールは私が知りえた範囲ではなさそうでした(オートアーティキュレーションに関して、XGworksST に匹敵する機能を持つDAWソフトをご存知の方がいらっしゃしましたら、是非ともご教示願いたいです。よろしく)
 というわけで、二つのDAWソフトを、音楽制作の過程、BとCごとに使い分けようと判断したのです。
 音楽制作においては、この10年間、XGworksST 以外のDAWソフトを使ってこなかったため、時代の変化の方向性に対する感受性が鈍っていたようです。どうやら、DAWソフトに関しては、MIDIデータの修正・編集機能に関しては開発が2000年代前半までにやりつくされ、ソフトのヴァージョンアップは、オーディオ機能(録音された音の修正・編集やエフェクトによる加工など)の向上が中心となっていたのでしょう。また、MIDIデータの修正・編集よりも、オーディオデータに対する修正・編集に対するニーズのほうが高くなってきたことも効いているのかもしれません。
 YAMAHA はDAWソフトから撤退してしまい、YAMAHA が開発したオートアーティキュレーションという使い手のある機能は、引き継がれることなく埋もれてしまったようです。
 
余談
 
 WindowsのXPパソコン時代のソフトだったため、XGworksST を Winsows7・64bit版のPCにインストールするのには少々てこずりました。
 次のブログ記事に助けられました。
 
<XGworks STがWindows 7 64bit版にインストールできた>

 滝澤祐一さん、ありがとうございます。


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