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作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

序曲の魅力 

Posted on 06:48:26

 
 年度替わりの時節柄、「序曲」というタイプの曲種が聴きたくなります。オペラの幕開けに先立って演奏される楽曲です。
 この二日間、オペラの「序曲」を集めたCDを3枚、聴き込みました。序曲には、特有の魅力があることを、再確認できました。
 今回は、私が感じ取った序曲に宿る魅力の要因を、いくつか列挙してみようと思います。

 
 序曲を単独で演奏されることがある、名の知られた作品は、どれも甲乙つけがたい味わいのあるものばかりでした。
 たとえば、ヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」序曲、ウェーバーの「魔弾の射手」序曲、ヴェルディの「運命の力」序曲、モーツァルトの「魔笛」序曲、オッフェンバックの「天国と地獄」序曲、ロッシーニの「セビリャの理髪師」序曲、などなど。
 これらの作品にほぼ共通して見られる要素がいくつかあることが、聴いていてわかってきました。
(以下、曲のタイトルから「序曲」を略します)
 
(1)7分から12分程度の曲の中に、魅力的な旋律がいくつも登場する。
 それも、単に複数の主題が並立するだけではなく、相当異なる曲想をもつメロディーが次々と立ち現れるのです。聴き手を飽きさせません。ワルツになったり、短調の悲哀に満ちた旋律が流れたり、低音楽器が主旋律を演奏したり、テンポが急に変わったりと、手を変え品を変え、歌劇の波乱に満ちた筋書きを予告するような曲作りをしています。
 
(2)さまざまな楽器群が主役になる。
 序曲では、交響曲に比べると、木管楽器や金管楽器が旋律を担当する場面が多いといえます。それによって、曲想の転換を効果的に行っているのでしょう。「魔弾の射手」のホルンのアンサンブルやクラリネットのソロ、「天国と地獄」のクラリネットとオーボエの連続ソロ、「魔笛」のフルートとオーボエの掛け合いなど、オーケストラの各種楽器の個性を存分に味わえます。「セビリャの理髪師」では、繰り返される主題が、そのたびごとに異なる管楽器(順に、オーボエ、ホルン、クラリネット、バスーン)のソロで演奏されるほどです。
 
(3)歌劇の展開の予告編となるように構成されている。
 上記の2点は、歌劇の筋書きを凝縮して籠め、さまざまな感興を聴き手に惹き起こそうとするために、必然的に要請されることなのでしょう。物語の起承転結に対応するように、曲が構築されています。たとえば「魔弾の射手」では、悪魔の力と愛の力とが対比され、愛によって魔性の力が克服される展開通りの音楽となっています。
 
(4)「職人の技」を感じる作品が多い。
 オペラの前座の10分程度の管弦楽曲に、作曲家としての主張や作曲上の新基軸などを持ち込むことは、あまり考えられません。むしろ、作曲時点において自分の持っている技量の範囲で、いかに聴き手を惹きつけ、ワクワクさせるかを工夫するものだと思います。細部にトリッキーな仕掛けが施されているのを、いくつかの曲で見出しました。「運命の力」では、長調と短調の絶妙の対比、テンポや音量やリズムの変化、意表をつく転調など、ヴェルディが投入した技巧の数々に感心させられます。
 
(5)作曲家の「遊び心」が感じられる。
 たいていの序曲は、あまり気負わず、さらっと書かれている印象を受けます。それでいて、見事な作品に仕上がっています。聴き手を存分に愉しませようと、作曲する側も愉しみながら創作しているのでしょう。作曲家の「遊び心」や「いたずら」や「茶目っ気」を感じる曲も少なくありません。喜歌劇「こうもり」からは、ヨハン・シュトラウス2世の微笑が目に浮かんできます。ロッシーニやモーツァルトの序曲からも、「遊び心」が伝わってきます。
 
 したがって、「序曲」というのは、聴いていて飽きることはなく、ワクワクして精神が高揚してくる曲種といえるでしょう。新学期を迎える今の時期にうってつけの音楽です。
 また、管弦楽の魅力を短い時間で凝縮して味わえるタイプのジャンルといえそうです。よって、オーケストラ入門としても活用できる音楽でしょう。
 私にとっては、またとない作曲の見本集であり、研究資料です。


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