04 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. » 06

作曲と思索の愉しみ

オーケストラ作品の作曲・制作過程や、科学史と音楽史の研究にかかわる記録です。 森さちやの自作曲の公開も行います。 曲と思索を分かち合いたい。

太陽光パネルへの違和感 

Posted on 11:24:02

 
 私は中央本線を使って通勤しているのですが、通勤途上、甲府盆地に少しずつ、太陽光発電のパネルが設置されるようになってきたことに気付いています。それを見るたびに、不気味でグロテスクだなあ、と感じていました。
 今回は、私がなぜ「グロテスク」と感じるのかに対して、自分なりに考えたことを記してみます。

 
 甲府盆地を走る中央本線沿い、塩山駅から石和温泉駅にかけては、ぶどう畑や桃畑が広がっています。土地柄、果実の生産が盛んなところです。ワイン用のぶどうも育てています。
 その果樹園や住宅地の風景のなかに、虫食い状に、太陽光パネルが出現するようになりました。おそらく、ブドウ畑などを転用したのでしょう。
 

 ここで、誤解を防ぐために一言。設置した方々には、それなりの考え方や事情があるでしょうから、設置した行為に対して、文句をつけたり、批判をしたりする意図はありません。単に、私が感じたことを吟味して、言葉にしておこうと思っているだけです。
 

 さて、太陽光パネルが、住宅の屋根やビルの屋上にあるのであれば、あまり違和感を覚えないのですが、ブドウ畑のなかにあると、どうしてもグロテスクなのです。水と油、といいましょうか、共存し得ないものが隣り合っている、という感覚を抱くのです。
 太陽光発電は、自然エネルギーとか、再生可能エネルギーなどと称されることもありますが、太陽光パネル自体は、どう見ても「工業製品」です。資源とエネルギーを投入して、ある一定の経済的利益を見込んで製作された、シリコンチップや金属やプラスチックなどからなる構築物です。
 背景の、ブドウ畑や桃畑は、人の手が入っているとはいえ、植物の織り成す自然物の景観といえます。それに対して、太陽光パネルは完全に人工物です。果樹は花が咲いて成長して実をつけたり、冬には葉を落としたりしますが、太陽光パネルは見かけ上変化しません。
 そうした表面的な対比に加え、それらの背後は、価値観の対立がありそうです。そのぶつかり合いに、「グロテスクさ」を感じてしまうのでしょう。
 太陽光パネルという工業製品には、経済学の価値観や、近代科学文明の価値観が纏わり付いているように感じます。設置者の思惑はともかく、資源浪費型の現代文明における一定の電力需要を満たす一翼を担うことになります。そして、ブドウ畑はなくなり、パネルの下の地面には日が当たらなくなり、その地表や地中で生きていた雑草や小動物や微生物に悪影響があるでしょう。食物連鎖や物質循環が変化し、自然破壊が進むわけです。
(原発が稼働していなくても電力が足りている日本の現状において、発電施設の増設は、現代文明における価値観―潤沢な電力を利用して経済発展することをよしとする価値観―や、浪費癖を容認する行為のように、私には思われます。いざというときのバックアップが必要、という意見に対しては、発電したいときに発電できるとは限らない太陽光は不適、と答えておきます。原発も同様に、急に発電量を増やすことができない、発電技術としては劣悪な設備です)
 ひょっとすると果樹生産も、経営上は、資本主義の原理に相当からめとられているのかもしれませんが、土地の利用形態を見るならば、「土」に根ざした、伝統的な「農」の一環であることは間違いないでしょう。そして、甲府盆地の果樹生産は、日照時間が長く一日の気温差が大きい気候と、水はけのよい扇状地の地形にマッチした、風土に適合している営みなのです。
 

 つまり、果樹園に点在する太陽光パネルは、近代文明の価値観と、伝統的な土着の価値観との対立を象徴している風景として、私の眼には映ったのです。
 そして、経済原理と科学技術を軸とした近代の価値観が、少しずつ着実に地域に根ざしたあり方を侵蝕している趨勢を可視化した出来事のように、私には感じられるのです。
(これは、車窓の風景から私がめぐらせた主観的思索であり、実際の設置者の思惑とは全くかけ離れているかもしれません。そうであったらご容赦を)
 

 通勤には片道約2時間かかります。中央本線の各駅停車に1時間40分ほど乗っています。その長い時間、うたた寝しているか、風景を見ながら、とりとめもないことを考えていることが多いです。今日は、通勤電車での最近の思索の断片を、記しておきました。


関連記事
スポンサーサイト

テーマ - 脱原発

ジャンル - 政治・経済

未分類  |  0 trackback  |  0 comment |  edit

△page top

△page top

Secret

△page top

トラックバックURL
→http://wood248.blog.fc2.com/tb.php/117-489c9a9c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

△page top

カテゴリ

全記事一覧リスト

最新記事

月別アーカイブ

コメントをどうぞ

最新コメント

最新トラックバック